イオリン手記

Stay Gold, Ponyboy.

2nd

社会人、1年目が過ぎました。 去年のあの春の日、幸せと期待を胸に添えて東京に来て。スタートダッシュを切れたのかどうか、正直わかりません。 最初はとにかく、走り続けました。負けてたまるか、と走り続けました。自分の人生に疑問も持たず、走っていました。 夏に、大好きな彼女にフラれました。 青天の霹靂とは、まさにこのことでした。あんなに晴れ渡り澄み切っていた視界に、突如として暗雲が押し寄せ、雷が私を打ちのめしました。 正直、天狗となっていた私は、心底悔やみ、怒りさえこみ上げて来ました。「私は阿呆か」と。大好きな人に見放されるようなやつが、何を思い上がっているのか、と。 このバカチンが、と。 それからは、自分を見つめ直す毎日でした。「このままじゃダメだ」という、漠然とした暗雲だけが目の前に広がり、手探りで歩く毎日でした。 仕事だけはとにかく、必死でやりました。プロ意識だけは絶対に失わずに。今思えば、仕事がなければ、もっと悲惨なココロを抱えることになったと思います。 秋が過ぎたころ。 思いついたことは、呆れるほどにバカでした。「カッコつけよう」。 それからバカみたいに「かっこいいとは?」を考え続けました。所ジョージさんや、明石家さんまさんや、GACKTさんなど、かっこいいと思う人の価値観を、真似るようにしました。 その結果、「粋であれ、男たれ」が、信条として打ち立てられました。 「生き様」の面で、かっこよく、粋で、男らしくあり続けようと決めました。仕事もそうだし、それ以外の遊びでも、そう。 自分の中の「カッコイイ」を追い求めて、 冬も過ぎようとしていました。 夏に失った何かは戻らないけど、あの頃より持っていなかった何かが、今手の中にあるとは思います。 「カッコイイって、こういうことさ」と、紅の豚のようにカッコ続けていますが、あの夏よりかっこいい大人になれたかな。 バカには、なれた気がしますね。男はバカですからね。 そんなこんなで2年目が始まりました。 将来なんてわかりませんし、視界はまだ曇っていますが、明日は今よりも、男らしく、粋で、バカで、かっこつけて生きようと思います。
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