イオリン手記

Stay Gold, Ponyboy.

フリートークでおハナシ。〜もう会えないあの豚丼〜

まいど、イオリンでござい。 この文章を書きはじめる少し前に豚丼を食べた。なかなかに良い味だったので気に入ったのだが、私の中での暫定一位豚丼には及ばなかった。 と言っても、その暫定一位豚丼は、今はもう食べることの叶わない豚丼なのだ。今日はその豚丼の思い出でも語ろうと思う。 〜〜〜〜 その豚丼を一番最初に食べたのは私が大学生の頃。就職活動で色々と移動が多かった時期だった。 その日も就職活動を終えて、友人と2人で大阪、梅田のあたりを歩きながら「ご飯を食べて帰るかー」と思っていた。梅田のヨドバシカメラの上階にレストランフロアがあることを思い出し、そこで何かいい店を見つけてテキトーに食べて帰ろう、と思ったのだ。 そこで出会ったのが「豚道楽」というお店だった。 ヨドバシカメラ上階にしてはなかなか格式の高そうなお店に見えたが、案外と手の届く価格帯であったこと、そしてメニュー一押しの豚丼がなんともおいしそうだったことに惹かれ、友人と2人でその店に入ることにした。 そこで食べた豚丼はとても衝撃的だった。 もう10年近く前だから明確には思い出せないのだけれど、とにかく友人と2人で「この豚丼はやばい!」「おいしすぎる!」としきりに話していた。持っていたデジカメで写真を撮り、店の名前もしっかり記憶した。 それが、「豚道楽の豚丼」との1回目の邂逅であった。 至高の豚丼の姿はこれだ。 〜〜〜〜 それから何度か、その豚道楽を訪れた。 関西の豚道楽はそのヨドバシカメラの上階にしかなかったので、就職活動で夜ご飯を梅田で食べることになったら、必ずその店に行くようにしていた。時間帯や日にちによっては並んでいることもあったが「あの豚丼を食べられるなら多少は並ぶさ」と言わんばかりに並んだものだ(イオリンは普段は行列が大嫌いなのです)。 だが、別れはあっさり訪れた。半年もしないうちに、ヨドバシカメラのレストランエリアが全面内装リフォームとなったのだ。そしてそのリフォームがおわると、豚道楽は姿を消していた。撤退していたのだ。 友達と2人で「あれ、豚道楽ないぞ!?」と言いながらフロアを歩き回った記憶がある。それほどまでに、あの豚丼は凄まじく美味しかったのだ。 〜〜〜〜 豚道楽と再開したのは、それから1年ほど経った後だった。 私は東京の会社に就職し、東京での暮らしに慣れつつあった頃。ふと、豚道楽のことを思い出した。 「そういえば豚道楽って東京にはいくつか店があったんじゃなかったっけ?」 そう思って調べて見ると、なんと隣駅の周辺に豚道楽のお店があるではないか!しかも、私がお気に入りの整体へ行く道中だったのだ。 そうとなれば私の舌と胃袋は、豚道楽の、あの豚丼を求めて止まなかった。その日のうちに自転車を飛ばして豚道楽の店に入った。 ところがぎっちょん。 その店の佇まいは、豚肉を味わえる店というよりは、ただの居酒屋のようだった。豚肉よりは焼き鳥が出てきそうな店だったのだ。実際、仕事帰りのようなくたびれたスーツのサラリーマンがお酒を飲んでいた。大阪の豚道楽のような格式の高さは見られなかった。 「あれ?なんか違うな?」 実際にメニューを見ても、串焼きや炭焼きなどがメインで、お酒をまず頼んで、そのつまみに豚を中心とした料理を楽しむ、というお店の趣旨が見え隠れしていた。 そもそも豚丼がなかったのだ。 いや、実際にはあった。それは「シメ」の欄にあった。あるにはあったが、その豚丼はもはや一押しメニューではなく、米を求める客に向けてなんとなく作られたメニューのようであった。 実際に私はそれを頼んで食べたのだが、そこにはあの、大阪の豚道楽で味わったような感動はどこにもなかった。あの豚丼はあくまで大阪梅田店のウリであり、豚道楽ブランド全体のウリではなかったのだ。店を出た私は誰から見ても落胆していただろう。 あの豚丼にはもう会えないのだ。 〜〜〜〜 以上で「ばいびー」と締めようと思ったのだが、先ほどGoogle検索したら、どうやら「仙台パルコ店」では、居酒屋メニュー以外の定食メニューもあるらしい!私がいつか見たあの豚丼に、かなり近い豚丼メニューも確認できた。 これはもう仙台に行ったら必ず行くしかあるまい。東北には行ったことが全くないのだが、これは文字通り食指が動くというものだ。 ちなみに私が落胆したあの店は、すでに閉店していた。まぁ普通の居酒屋だったので、移り変わりの激しい繁華街ではそうなるのもいた仕方ない気がした。 豚道楽さんには是非、あの豚丼を全国に広めて欲しいものだ。正確には、私の活動範囲内に広めて欲しいものだ。 ばいびー。 またあの豚丼に会いたい。
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