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ゲーム「GUILTY GEAR -STRIVE-」

ARC SYSTEM WORKSさんが手がける対戦格闘ゲーム「ギルティギア」シリーズの2025年現在における最新作。 もともとギルティギアシリーズは高校生くらいの頃に「ギルティギアX」と「ギルティギアXX」をプレイしていたんだけど、当時はいわゆる「コンボゲー」の最盛期であり、ARC SYSTEM WORKSさんおよびギルティギアシリーズはそのコンボゲー時代の象徴とも言えるゲーム性だった。 弱パンチなどを差し込んでヒットすればそこから地上コンボ→途中で浮かせて空中コンボ→最後に必殺技でフィニッシュ。そしてダウンしていれば起き攻めを迫り、それがカスあたりでもしたらまたコンボに次ぐコンボ。そしてそういった長いコンボを繰り出してようやくまともなダメージが稼げる。そういったゲーム性だ。 特に同社が手がけた「北斗の拳」の格闘ゲームは最もコンボゲー時代を表す一作だ。あの北斗の拳のゲーム化にもかかわらず当代1のコンボゲーが出てきたのだから、どれだけコンボゲーが市民権を得ていたかがわかる。詳しくは↓この古き良きホームページ「墓標」さんの紹介が一番面白い。 北斗の拳 ~審判の双蒼星 拳豪列伝~ | 墓標 閑話休題。 そんなコンボゲー最盛期だったけれど、中高生だった僕はコンボゲーが苦手だった。僕が対戦格闘ゲームで好きなのは差し合い・読み合いといった部分であって、手先の器用さを競いたいわけじゃなかった。だから友だちからドヤ顔でコンボを魅せられても何の感慨もなく、結果的に僕はしばらく格ゲー、特に対人戦から離れることになった。たまにやるにしても気の知れた友人とだけで、ゲーセンやオンライン対戦などで純粋な戦いはしなくなった。 ==== そんな僕だけれど、格ゲーの進化を追うのは好きだった。たまにストリートファイターを遊んできたし、昔から遊んでいたKOF、餓狼伝説、サムライスピリッツといったSNK社のシリーズが盛り上がり、さらにストリートファイター等にコラボ登場しているのは感動していた。でも、たまにプレイするにしても1人用モードがほとんどだった。(ストリートファイター6も、演出は楽しいけど長すぎた。) そんな僕がギルティギアシリーズに手を出したのは、その映像美がずっと気になっていたからだ。たまにSNSなどで見かけていたけれど、3Dモードをレンダリング技術でアニメのように魅せる技術が、この最新作では特に極まっていた。アニメにしか見えないこの映像を自分の手で格ゲーみたいに動かせる、という体験はずっと気になっていた。 で、満を持して購入をしたわけだ。 ==== そして映像美は期待以上だった。本当に3Dモデルがアニメのように動いていて、そこに破綻が全然ない。そしてヌルヌルキビキビ動く。3D映像だからカメラアングルとかも動くけれど、ものすごく作画が素晴らしいアニメを見ているような感覚にもなる。そして派手なエフェクトが出ても案外見失うことがなく、そのバランス調整にも舌を巻いた。 特に↓この「飛鳥#R」というキャラクターを最初見た時は本当に驚いた。マントの中が宇宙空間のようになっているんだけど「何それ3Dでどう演出するの・・・?」と。でも実際完璧に表現できていて、これが映画やアニメじゃなくて「自分たちで動かせる3Dモデル」として成立している。この技術力は本当に素晴らしい。 ==== 格闘ゲーム要素については、噂でコンボゲー兆候がおさまっていると聞いていたのだけれど、想像以上にコンボゲーではなくなっていてこれも感動した。 厳密には多少のコンボはあるんだけれどそこに切り返しの余地があるのと、コンボを繋げた時のダメージと一発デカいのを入れた時のダメージに差がないので、コンボに頼る必要がなくこじんまりしたコンボで十分勝てるバランスになっている。多少コンボを繋いでダメージを入れたところで、デカい一発をもらい続ければ普通に負けてしまう。その逆も然り。空中コンボという概念はほとんどないようにさえ思う。 そしてダメージが全体的にデカく、試合が割とすぐ決まる。格ゲーって相手が格上すぎると何もできずに負けることがあって、コンボゲーだとその時間がとにかく長くて楽しくないんだけれど、今作はすぐにKOするからそういうストレスもない。 さらに僕が高校生の頃から好きだったキャラクター「スレイヤー」がダウンロードコンテンツで発売されたのだけれど、これがまた一発偏重キャラとしての特徴付けが強まっていて楽しい。 高校生当時から彼は一発が重たいパワー系だったけれど、それでもさまざまなコンボがあった。それが今回は本当にシンプルなコンボで大きめなダメージを与えられるし、相手の隙を読んでカウンター大技ブチこめば下手なコンボよりもデカいダメージを与えられる。読まれれば何もできないけど、読み勝てればガリガリ攻めて押し勝てる。 ちょっと正直ここまで完成度の高い対戦格闘ゲームに仕上がっているとは思っていなかった。個人的にはストリートファイター6を越えていると思う。もちろんゲーム性の違いはあれど、格ゲーとしての体験の良さと演出とのバランスはとっても良い。(スト6は演出が長すぎたり、コンボが長かったりして正直、試合中に楽しくない時間が多かったのが個人的にはマイナス。) ものすごい細かいところで言えば、2本先取なんだけれどその表示の仕方が「ライフ消費型」なのは上手いなと思った。体力バーの横にハートマークが2つあって、1本取られるとハートマークが1つ消える。2つとも消えたら負け。これは一般的な「1本取ればマークが増える」よりも勝ち負けの条件がわかりやすくていいなと思った。 そういった細かい点も含めて格ゲーとしての完成度は近代格ゲーの中ではトップかもしれない。久しぶりにオンラインで知らない人と対戦してもストレスがたまらない格ゲーと出会った。 ==== あと、音楽もとっても良い。もちろんここには好みもあるけれど、一曲がちゃんとしたノリノリの洋楽ナンバーとして成立しているのに、格ゲーのBGMとしても邪魔にならない。音量バランスとかその辺りが上手いのかな。 とにかくベタ褒めしたけど、正直気になるポイントは見つからない。間違いなく傑作だ。
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