阿智村と旅館「野熊の庄 月川」
長野県阿智村は「日本一星が綺麗に見える村」との呼び声で有名な村だ。
東京にいた頃から気になっていたんだけれど、数年前に長野に引っ越してからは家から車で1時間ほどの距離しかないから、今年(2025年)は絶対に行こうと思っていた。
僕の旅行はいつも弾丸旅なんだけど、今回も前日にふと思い立って旅館を調べたら1件、そこそこお手頃なお値段で空いていたから予約を取って行ってきた。その旅館が「野熊の庄 月川」。この旅館は家族連れはもちろん「ぶらり一人旅用プラン」みたいなのがあって、僕みたいな一人旅人間にもやさしい。
野熊の庄 月川
朝は普段通り暮らしつつ、昼過ぎくらいから家を出て、およそ1時間のドライブ。まず道中、日本アルプスの中央(木曽)と南(赤石)に囲まれた道中を走るのが気持ちよくてたまらない。(高速道路を強くお勧めする。下道も悪くはないが道が狭いため、景色を意識に入れる余裕が少ない。)
さて、1時間ほど走らせると旅館に到着するんだけれど、ここで注意点。Google MapsやApple Mapsで調べる場合は旅館名ではなく住所で調べよう。「野熊の庄 月川」で出てくるのは全く関係ないファミリーマートだ。旅館との距離は10kmほどしかないので致命にはならないけれど、びっくりする。イオリンはこーいうトラブルが大好物なのですごく楽しんだけれどね。ちなみに多分ココが最後のコンビニなので、何か仕入れる場合はココで。
ファミリーマートからやや細い道を10分弱走らせると旅館に到着する。1月末時点では路肩や野に少し雪が積もっていた。山に囲まれているので日照時間等もあって溶けないんだろう。その先にポツンと佇む旅館が月川。山に囲まれていて周りに他の旅館などもなく、ほんとうに「ポツン」という言葉が似合う。大きすぎず小さすぎない、程よい大きさだ。
いわゆる昭和ごろの日本旅館という雰囲気が館内全体にあって、僕は思わずおばあちゃん家を思い出した。部屋も和室に襖(ふすま)や障子戸に土壁。ただしお手洗いはやや洋風の扉で、それも昭和の雰囲気を醸し出している。窓を開ければ川と雪。
携帯の電波は届きづらく、無線WiFiもあるんだけれど他の客の利用率によっては繋がらないので、ある種の隔たれた空間になる。ゆっくり読書したり旅館内を散歩したりといったゆったりした時間を過ごせる。僕は一人旅で行ったけれど、友人や恋人などと行けばまたやわらかな時間を過ごせるんじゃないかな。食事も和室の食事処でやさしい和食をいただける。
食事後に外に出て散歩をすると、夜空には一面の星空。さすがは「日本一」を称するだけのことはあり、間違いなく人生で一番、星が多い夜空だった。星が多すぎて星座が少し埋もれるほどだ。ベテルギウスやオリオンが他の星に埋もれるなんて初体験だ。天体とはまさにコレか、と。地動説を信じた人の気持ちもわかる。ドーム上に空にキャンバスがあるようにも見えるほどの星々。
この星空の肝は、「近場に街灯が全くない」という点と「山に遮られている」という2点だ。これが光源のほとんどを消し、夜道は文字通り見えないほど暗い。そのおかげで空の星々が輝くのだ。
ちなみに「夜空や星を見るなら空気の澄んだ冬だろ」って思っていたんだけど、調べたら天の川は夏にしか見えないらしい。そりゃそうで、冬の間は地球の反対側にあるからだ。これはうっかりさんだ。それでも大量の星々が空に輝いているのはずーーっと見られる光景だった。
その後に入ったお風呂はこじんまりとしているけれど屋内風呂と露天風呂があり、露天風呂は夜空を見上げながら浸かることができる。僕が入った時は20時くらいなんだけれど貸切状態で、ゆーっくり空を見上げながら浸かる風呂はシンプルだけど良い体験だった。
そんなこんなで翌朝にはこれまたやさしい朝餉をいただいて宿を出た。そういえば宿からさらに少し小高いところにカフェがあったんだけど、夕暮れ時も朝もCLOSEDだった。まぁまた来るだろうから、その時には寄ろう。