イオリンの手紙

瓶詰めの紙切れ

早く生まれたからじゃなく

僕はスポーツは嫌いじゃないし、どちらかというと身体は動くし体格も恵まれている方だと思うんだけれど、小中高と運動系の部活といったものには一度も入ったことがなくって。というのも、噂で聞いた「1年目はボール拾い」「先輩には絶対服従」みたいなのが僕は絶対イヤだなと思っていたの。サッカーやりたくてサッカー部に入ったのになんでサッカーやらせてくれないんだよ、みたいなことになるのがイヤだな、って。当時の僕は先輩後輩っていう関係性についても納得言ってなかった。多少早く生まれただけじゃないか、と。 でも、大人になってから「黒子のバスケ」っていう漫画を読んで、その中で似たように先輩をナメてる選手がいて、そこに先輩が説教をするシーンがあってね。新しく入った期待の新人が「数年早く生まれただけで偉いんすか。多分バスケは俺のほうが上手いっすよ」とかナメたこと言ってきて。でもそこに先輩が「偉ぇよ」と言い切るのよ。ただ、なぜ「偉ぇ」かというと、「早く生まれたからじゃなく、1年、2年長く貢献してきたから偉いんだ」って言ってて。それは本当にそうだなと僕はひざを打った。「そりゃあ偉いわ!ごめんなさい!」と。 わりかしそこから先達に対する敬意というものが芽生えたんだと思う。転職するときも新しい場所に赴く時も、先輩たちは僕より先にみんなのための貢献してきて、それを今に至るまで繋いできたということ。そのことに敬意を抱くべきだし、その途方もない積み上げを思えば勝手に敬意が芽生えちゃうんじゃないかな。 まぁ年をとって「先達」側になってきた昨今では逆に身が引き締まる思いだけどね。ちゃんと努力、貢献してないと「えぇ、早くいたのにこの程度?」ってなるかもしれない。でもプレッシャーを力に変えるってのはこういうことだよな、きっと。
前へ
一覧
後へ