お犬さん、お人形さん
「長野に来る予定だったのだけれど、飼っているワンちゃんに不幸があって」といった連絡があった。それはそれは大変な事態だ、僕なんかと会っている場合ではない、ということで「お犬さんも家族だからね」という風に返した。そのちょっとあとに、「お犬さん」という自分の言葉選びに対して、我ながら良い言葉だな、と思った。
自然と僕からは「お犬さん」という言葉が出てきた、まぁ投げかけられたワンちゃんでも良かったのだけれど、ちょっと僕の中でワンちゃんがしっくりこなかった。その代わりに選んだのが「お犬さん」だったのだけれど。
これはまぁ多分「お父さん」とか「お兄さん」「妹さん」とかと同じ表現で、つまりは「お犬さん」って家族の表現として、こう、縁者の外として身を置きつつ、お犬さんを相手の家族として扱っていますよ、というのが、すごくよく表れている。
お犬さんは、まぁ間違いなく家族だよな。一緒に同じ家で暮らしているんだから。そこに血縁関係はなくとも家族だし、むしろ「婚約」や「養子縁組」に近いような、あるいは「杯を交わす」のような意味合いのモノがあるなら、
お犬さんを迎えるのは間違いなく、家族だよな。
まぁでもそういう流れで云えば、「お人形さん」だって家族だよな。そういえば数日前にひな祭りの日がありましたが、昔、母や祖母が「ちゃんとお披露目してあげないとお人形さんがかわいそう」と云いながら出していた記憶がある。
これは多分、付喪神や八百万乃神などの文化からも来る気がする。ところで一神教的文化では、こういうお人形さんはどういう扱いなんだろうね。神ではなくゴースト、あるいはデーモンという風になるのか。興味深い。