イオリンの手紙

瓶詰めの紙切れ

どっちを選んでも

僕はあまり人生を後悔しない。あの時、ああしていれば、と思うことがないわけでもないが、その後には「でも仕方ないよな」がセットになっている。おおよそ一晩寝れば「昔の出来事」になって、どうでもよくなる。 とはいえ、昔からそうだったわけではなく、おおよそ大学生の頃くらいまでは、頭ではわかっていても後悔が残り続けて、「仕方ないんだ」「仕方ないんだ」と言い聞かせるような日々があったように思う。それが年をいただくにつれて、骨身に染み付いたのだろう。 それは未熟だとか成熟とかいうハナシでもなく、死生観とかに寄るところが大きいのだろう。元々そういう人間だったところもある気はする。一時期は「心が死んだのか」と思うことさえあったけれど、元々、僕の心がそういうつくりだっただけだ。 ある漫画で、とある少女が、長年住んでいた村を飛び出して夜通し歩き続けているシーンがあった。そこで妖精さんに「後悔することになるかもよ?」と聞かれた際の答えが、今でも心に残っている。 「どっちを選んでも、あたしきっと後悔すると思う。でも、もうここまで来ちゃったから」 まぁそういうもんなんだろう。あの時、どういう行動をしても、何かしら「ああしていれば」が残る。でも、その時に取った行動は決してサボった結果ではなく、その時には真剣にそうしたいと思ってやったんだから、悔いはない。それに、もうここまで来ちゃったんだもの。
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