イオリンの手紙

瓶詰めの紙切れ

ここじゃなきゃ

僕の人生はとてもシンプルだ。それは僕が複雑なことを忌避するからに他ならないのだが、日々起きることにややこしいことなどほとんどない。まあ先日入院なんかしちゃって苦労はしたが、ややこしくはない。 他方、たまに周りの話を聞くと、なんともややこしい話が定期的に舞い込むモノだなと思う。まあ社会活動とはそういうものだが、仕事の話も私生活の話も、なんともややこしい。僕が東京にいくたびに異世界感を感じる理由の一つだ。なんとも多くのファクターを人生に取り込んでおるのだ、と思う。 別に優劣の話はしていないし、あえてするなら劣るほうは僕だと思う。そんなに多くのファクターを絡み合った世界では、僕は逃げたくて仕方がないだろう。実際、15歳の僕は逃げ出しているし、それ以降も直接的ではないにしろ、逃げ回っているし、狂ってもきた。 果ては長野の山奥で一人で暮らしている。そんな僕を「気楽でいいな」などと言う人もいる。僕は、ふふん、そうだろう、などと鼻を鳴らしつつも、「僕はそうじゃなきゃ生きられないんだ」という気持ちもある。魚に「水中で息継ぎしなくていいなんて、いいな」と思っているようなものだ。 たまに冗談めきながらも「長野に引っ越していなかったら乗り越えられなかったよ」と言うこともある。事実そうだと思う。いや、乗り越えているという気分でもないのだけれど、少なくとも今の位置にはいなかったろう。 それが良いことか悪いことかもわからないけれど。すべてそうだ。僕につぶれて欲しい人さえいるだろう。きっとね。
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