「早く」も「遠く」もいらない
別に全く他意なく書くのだけれど、僕はビジネスというものにあまり興味がない。僕にとってビジネスとは手段であって、目的にはならないのだ。だからスペースXが上場してそのエンジニア社員がいくら手に入れただとか、ベンチャー企業の買収額がいくらだとか、そういう話は「夢あるねえ」と思うものの、現実の話としては興味がない。
ここに至っても僕は身体性、体験のほうを重視する。つまり、自分の商品がいくら稼いだか、ではなく、どれだけの人に自分が与えたいと思える商品を提供できたか、だ。僕にとってお金とは経費や条件であって成果じゃない。たとえば僕がアカデミー賞をとりたいと思っているならば、僕はそのために必要なお金を稼がなきゃな、と思う。
とはいえ、僕にそういった大きな野望もない。さきほど「どれだけの人に」と言ってみたものの、僕自身、大勢の人に何か影響を与えたいと思う人間でもないし、何かを遺したいと思う人間でもない。ただ流れゆくままに在りたいというだけの人間だから、そういう意味でも「ビジネス」というものに興味が持てない。
大勢でやることにもあまり興味がない。「早く行きたければひとりでいけ、遠くにいきたければみんなで行け」という諺があるが、僕は別にどこへも行きたくないのだ。むしろ戻りたい。人間が、時代が、技術が先へ先へ、上へ上へと加速している現代において、僕は戻りたい。そして佇みたい。
その上で進むならば、じっくりと足の裏の感覚を保ったまま歩みたい。そこにしかないものがあるからね。「早く」も「遠く」もいらないのだ。