イオリンの手紙

瓶詰めの紙切れ

ままならないを味わう

知り合い夫婦にお誘いいただいて奥久慈までキャンプに来ている。あまり広くはないけれど自然が豊かで人も少なく快適な自然に囲まれている。自然の中にいるというのはままならないことがとても多い。テントやら何やらを組み立てなきゃいけないし、食事だって自分たちで用意しなきゃいけない。でもそのままならないことがいわゆる「生活」ってやつで、それを思い出させてくれる。エアコンもないしガスもない。それでもなんとか快適にしようと火を起こしたりなんかしてさ。雨が降ってきても木の下だったら雨が防げるよ、って机と椅子を組み立てて、そしたら雨が強くなってきて「やっぱこれダメだな」とテントに入る。その工夫とままならなさが、生活だね。 ただまぁ別に都会だったり設備の整った暮らしが悪いとかじゃなくて、このままならなさがあるからこそ、ボタンひとつで部屋が快適な空間になるなんてすごいね、神様みたいだね、というのを感じられるでしょう。どちらかだけでいいなんてことはなくて、いやまあどちらかだけでも生きてはいけるんだけど、どっちもあることでループして良さを感じる。便利すぎると張り合いがないから、たまには不便もいいね、なんつって、で、不便を味わうことでこたつは最高だね、と。 そういうとこを忘れないでいたいですね。ままならなさを、誠実に完全に味わう。
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