やなこと言うなあ
これは「水曜どうでしょう」だったかな。海外の旅の途中で大泉洋さんが確かDの運転にちょっとケチをつけたところ「やなこと言うなあ」とDが返す、なんでもない一幕があってね。これはまぁ、彼らの関係性が成熟してるし、ある種のボケとしてのケチをつけているからこそ成立する「やなこと言うなぁ」だと思うんだけどね。それが成立するってのはいろんな含蓄があるなぁ、とその一幕をずっと覚えているんだよね。
「LIFE!」という映画では、あるシーンで主人公が友人からの厚意を無碍にしちゃったシーンがあって、そこでその友人が「それは、傷つくなあ」と言ったシーンがあって。それもすごい好きで。そういう感情を素直に言うのってなかなか怖くてできなかったりするけれど、傷ついた時とかには「傷つくなあ」って。あるいはいやだなって思ったら「やなこと言うなあ」って素直に言えるような、そんな関係性の方が素敵だよね。
でもそれが言えるのって別に正直に言えばいいってわけじゃなくて。お互いに「ごめん」って言えなきゃいけないし、意地にならずにぐにゃんぐにゃんじゃないといけないし。なんだかこう、「素直に言い合える関係性を」みたいなのありきに接しているとむしろ逆になりそうな気がするよね。自然体を、って言い聞かせているのが一番自然体じゃないように。すーっと、意識するでもなく「やなこと言うなあ」って言えるくらいじゃないとたどり着けないんじゃないかなあ。
そう考えると、まぁ肩肘張るもんじゃないよね。「そんなのが、いいよねえ」ってのはいいけれど、「そんなのに、なろうね」は押し付けがましい。関係性ってのはいつでも自分からで、相手に求めるもんじゃないね。