イオリンの手紙

瓶詰めの紙切れ

自分にだって変えられないことはある

「他人は変えられないけど自分は変えられる」って言葉を結構聞くんだけれど、実は僕はピンときていなくて。「人は変わらない」というハナシならば、他人だって自分だって人なんだから、等しく変えられないでしょう。逆に、自分が変われるなら等しく人である他人も変われるでしょう。だから、「なんでアイツは変わらなくてよくて、僕が変わらなきゃいけないの?」と。自分のことじゃなくても、たとえば誰かから相談を受けた時も、「気に入らないアイツが変わらなくていいなら、君だって変わらなくていいんだよ」と思う。 結局は「変われるところと変われないところがある」というだけのハナシで、変われるところは変わってみよう、でも変われない、変えたくないところは無理に変わらなくていいんだよ、といったところで。僕の中にも、君の中にも「ここを変えちゃったらオイラ死ぬぜ?」ってポイントがあるはずでね。適応できる場所はドンドンしていったほうがいいけれど、「ここは譲れません」ってポイントはちゃんと見ておかないと、心が死にかねない。 人間同士において片方が変わらなきゃいけない状況なんてないよね。どっちかのせいなんてない。そんな中で「他人は変えられないけれど自分は変えられる」ってのは、すごい怖いハナシだよ。僕は突っぱねる。「そんなことねぇよ、自分だって変えられないぜ」って。だから多分、問題はそこじゃないんだ。
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