すでにゴールにいる
僕は目標とか目的とかを立てるのが苦手だ。昔から計画通りに何かを進められた記憶はあんまりないし、計画を立てても横道に入っちゃう。大学時代、先生に「一年の目標は具体的な数字にするといいよ」と助言をいただいた。「今年は痩せる」ではなく「今年は-5kg体重を減らす」という数字にするといいよ、と。なるほどたしかに、それはゴールが明確になってとても良い。
でも、そうしても僕は「一年の目標」を達成したことはない。偶然ゴールを過ぎていたことはあっても、ゴールというものに向かって一歩ずつ事を進めたことはないのだ。仕事でも私生活でも。
思うに僕の世界観において、人生は「道」じゃないんだ。スタート地点とゴール地点があるような世界じゃない。ある種、現在を精いっぱい生きているだけでもうゴールにいるから。いかにしてそのゴールから外れないようにするか。例えると小高い丘の上にゴールフラッグが立っていて、いかにそこから離れないか。それが僕の世界観における人生というものなんだと思う。嵐にさらされる日も陽射しが痛い日も、その旗をしっかり握って離れないようにする。
だからゴールを設定しないし、仮想のゴールを設定するほうが、自分自身の旗から離れてしまう。僕が今いるこの場所が僕のゴール。そして僕は多分、他の人たちにもそう思っているんだと思う。君のいる場所が君のゴール。その上で上手く行かないなら、それはもう仕方がないよね。旗の立っている場所が違うんだから。それは諦めとも言えるけれど、僕なりの尊重だね。