イオリンの手紙

瓶詰めの紙切れ

自然一体感

昨今、「自然と繋がっている感覚」というのが、心理学の世界で重要視されているそうだ。森や山の中にいて落ち着いたり、あるいは草木や動物に親近感を覚えたり、といったこと。この感覚があるほどストレスや不安が少なく、抑うつ状態になりづらいらしい。 この自然一体感とでも言える感覚が、僕は多分、むちゃくちゃ強い。僕の人生における世界観は、自然と繋がっていることが前提だとすら思っている。太陽が回り、木々が色めき、季節が巡り、鳥たちが飛び回り、その自然の循環の一部に僕がある。他人に接するのとほとんど変わらない感覚で、他の動物や植物と接する。いや、むしろ人間よりも心を開いているかもしれない。人間怖いもの。 一方で、環境問題に対してこじらせることもないんだよな。そりゃあ海が汚されたり、絶滅種が乱獲されたり、っていうのには義憤の念を禁じえないし、なんだったら近所で木々が伐採されるだけで心を強く痛める。でも、環境保護団体などに入ったり、市役所に怒鳴り込んだりはしないわけ。それは、「それも含めて自然だ」と思っているし、「僕がどうにかテコいれするなんて、おこがましい」とも思っているからだろう。あくまで自然という循環の一部であって、僕にできることは限られている。 自然一体感を測る指標を使ってみたら、ほぼ満点だったのだけれど、唯一、「私は地球が私に属するのと同じように、私も地球に属していると感じる」という項目だけは完全に同意できなかった。僕は地球に属しているけれど、地球は僕に属していない。いや、属するという概念ではなくって、溶け合って、一緒に流れているんだ。ぐるぐると。僕は、その循環の一部なのさ。
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