イオリンの手紙

瓶詰めの紙切れ

ダブルスとシングルスで

1人ではできないこともある。でも、1人でしかできないことがある。そして不思議なことに、1人のほうが物量が出せることがある。 例えば文章執筆なんてのは、10人で一緒に書くよりも1人で書くほうが良い。あるいは多くて2人。「執筆者」と「編集者」という2人で出せる成果を、10人が協力して出せる成果が上回ることはないでしょう。10人がそれぞれの文章を執筆すればもちろん上回るけれど、それは結局1人x10だ。10人がコラボレーションってやつをしても、文章執筆においては軸がブレたり衝突したりするだけだ。 サッカーは11人でプレイする。バスケは5人。それはルールで定められている点もあるけれど、単純に「じゃあ20人のサッカーチームは強いか」と言うと、どうだろう。単純に盤面だけ見れば、「ゴール前に10人立たせる」とかできちゃうから強そう。でもそれは興業としてはつまらなくなりそうだね。長期的に見ればサッカーを衰退させそうだ。雇う人数も増えるし。 レッドカードで1人退場しちゃった10人のほうが、熱意というか真剣味や凄みが出て、11人に勝っちゃうこともある。まぁこれは劇薬的なハナシだけれど。つまりは、「これ以上は多くないとできないよね」という部分があるのと同時に、「ここは1人じゃないとできないよね」という部分もあるわけだ。どっちも良し悪しがある。 そして、その中で僕は「1人でやるゲーム」がしたいんだ。テニスで「私はシングルスで闘いたい」という人間に「ダブルスのほうができることが多いよ」とは思わないでしょう。
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