イオリンの手紙

瓶詰めの紙切れ

後の先

本気でいる、っていうことは、前のめりであるということとは、必ずしもイコールではないんだなあ。ということは、「本気」の中にはいくらか種類があるということで、今書いている中でも、「アクセルをグンッと踏み込む本気」と、「肩の力を抜いた本気」の2種類があるんだね。剣道で言えば、前者は「エイヤァーーッ!」と気迫をあげる様で、後者はただ構えてながら、後の先を狙っている様だね。 僕はこの中では、後者のほうの「本気」が得意なんだと思う。お仕事に限らず、生活をまるっとぜんぶ含めて、「後の先」を狙っていると言っても良い。旅とかでも、まぁ準備はある程度するけれど、「後の先」のための準備だね。つまり、何か心配事が起きても対処できるように、あるいは面白そうなことにすぐに飛びつけるような準備をするんだね。 一方で、「先の先」のタイプの本気を得意とする方もいるよね。つまりは様々な推測をもとにガリガリとアクションしていくタイプ。旅行の準備の際も「コレを楽しむんだ!」というのを綿密に考えて、そのための準備を整える方々。ツアー旅行が好きな方々とかはこっちなんじゃないかな? まぁ旅のたとえならばどちらも良いけれど、先の先を狙うっていうのは四六時中はできないよね。だってそれは「努力」だから。一方で後の先は在り方だから、努力じゃないのさ。多分ココが、「努力だと思ったことがない人」と「努力してる自覚がある人」の違いなんじゃないかな。 後の先を取るには、自分を曲げたり前のめりになっちゃいけないからね。重心を丹田に込めた上で、右足はちょっと親指に少し乗せつつ、左足は少し引いてさ。 あ、アレだよ、電車でつり革につかまらないチャレンジをする時のアレ。アレが「後の先」だね。アレって「ようし、絶対たおれないぞ!」って思って努力しちゃいけないでしょ。もっと、ゆらーんとして電車と一体化させるでしょ。そうしていれば、電車の揺れに対して後の先をとれるでしょ。それは努力とは別の何かでしょう。 僕は多分、しょっちゅうソレをやっているんだね。きっとだけど。そしてそのためには「掃除する」とか「毎日歩く」とか、そういうことが存外、大事なのさ。
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