イオリンの手紙

瓶詰めの紙切れ

田園とリゾート

ちょっと前に健康を崩して以降、僕は普段の食事を「大量の野菜と少しのお肉を切って低温調理して、卵にとかして食べる」という食事をずっと続けてきた。でも最近、ふとした拍子にソースを使い始めていた。かき混ぜた卵に浸けた野菜やお肉に、ソースをちょっと垂らす。 するとあまりの美味しさに感動して。「すごいな!こんなに簡単に味がおいしくなるんだ!」と思っていた。卵に浸けるだけってのは、思えば味気ないもんだったなあ、なんて思いながらね。 でも、しばらくして「ちょっと過剰かな」と思って、ソースを使い切った後に買い足さず、また卵に浸けるだけの食事に戻った。そうすると美味しいんだ、これがまた。「全然素材の味で十分美味しいじゃん!」って。 多分しばらくしたら、またどこかで味付けをしっかりした料理に感動するんだな。どっちも美味しいし、どっちも立派な食事だね。もちろん、外食だって立派な食事。ものすごく美味しいもの。心の中では煉獄さんくらい「うまい!」って叫んでるもの。 ただまぁなんていうかなあ。味付けのあるほうが、やっぱ主張が強いんだね。白菜と鳥胸肉と卵だけ、っていうのは、アピールしてこない。お腹に優しいとかじゃなくて、「美味しさのために努力しました」って要素がないんだね。ただ、在る、というかね。生活の習慣にするんだったら、僕はそっちのほうが好きかもだね。人間の創意工夫の末の料理はこう、リゾートホテルみたいなものだから。僕はリゾートよりも田園が好きだね。
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