イオリンの手紙

瓶詰めの紙切れ

「趣味」の座席

ちょっと前に会社の催しで名札を書くことがあって、そこには「趣味」の欄があった。僕はちょっとそこで困ってしまった。趣味ってなんだろう。コレといった趣味が見当たらない。 一通りの趣味と呼ばれるジャンルに入るモノは僕もやっている。音楽、読書、旅行、映画、ゲーム、漫画、買い物、エトセトラ、エトセトラ。でも、どれも「僕の趣味はコレです」と呼べるものじゃない。僕の中で「趣味」の座席は空席なのだ。 こうやって毎日文章を書いていることも、趣味と言えば趣味かもしれないけれど、何か違う。それは「毎日チョコレートを食べているからといって、チョコレートが趣味か?」みたいなこと。何か違うだろう。 そう考えると、「趣味」の座席に座らせられるモノがない。結局その場も、当たり障りのないモノで逃げてしまった。今考えても思いつかない。 言ってしまえば、先に上げた趣味候補の数々は、生活の一部であり、その点においてはお仕事もあまり変わらないのだ。仕事も趣味のようなモノであり、趣味も仕事のようなモノである。本気度も同じくらいだ。もちろん、仕事には悲喜こもごもあろうけれど・・・いやでもそれは趣味にもあるか。 ここまで書いてふと、「今まで書いた文章で趣味について言及したのないかな?」と思ったら、半年くらい前に「朗読が趣味」と書いていた。おお、たしかにそれは趣味の座席にぴったりかもしれない。少なくとも今は近い。
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