イオリンの手紙

瓶詰めの紙切れ

継いだ言葉

先日、スターバックスで、こんな言葉を聞いた。「自分のことのように捉える癖をつけてほしいな」。スターバックスの店員さん——おそらくリーダーがスタッフに対して評価面談か何かをしていたようで。コーヒーをいただいて席につく合間に、その言葉が聞こえてきた。 盗み聞きをする趣味はないから前後などは分からないけれど、聞こえてきたその言葉が、素晴らしいなあと思って心に残っている。とはいっても、何も難しいことは言っていないし、特段、珍しいことを言っているわけでもない。誰もが当たり前のように受け取るような、そんな言葉だろう。 でも、きっと言われたスタッフはできていなかったんだろうし、リーダーさんはそれを伝えなきゃいけないと思って伝えたんだろう。なごやかで優しい口調ではあったけれど、少し言葉選びに対する慎重さも携えた上での、その言葉だったように思う。「自分のことのように捉える癖をつけてほしい」。 今日、新しく同僚として入った方へのフィードバックで、この言葉を伝えてみた。「頼まれたことを、頼まれたこととして受け取るんじゃなくて、自分のことのように捉えてほしい」と。頼まれたことをそのまま返したとして、君なら本当に嬉しいか。君ならどうする。まるで頼んだ側のように。自分ごとのように捉えてほしい、と。 それは彼に響いたようで、「ほんとだね、肝に銘じます」と返ってきた。全く関係ない言葉を継いで、僕が誰かに伝えて、それが何かになるかもしれない。その連鎖は、とてもいいことだなあ、と思う。 まぁ簡単そうに聞こえて、きっと何度も何度も言ったり言われたり気付いたり、しなきゃいけないことなんだろうけれどね。
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