イオリンの手紙

瓶詰めの紙切れ

抽象も具体も

インターネットで<「物事の思考型には【抽象型】と【具体型」がある」というハナシを見かけた。そのままの通り、何か物事を捉え、あるいは考える際に、抽象的なレベルで考える人と、具体的に考える人がいるのだという。 軽く説明すると、抽象型が「部屋を片づけて」と言うと、具体型は「曖昧でわかんないっす。このお皿はどこに片づけるべきですか」と疑問に思い、逆に具体型は「このお皿は食器棚に入れてこの本はあそこに——」と指示すると、抽象型は「まどろっこしいですね、部屋を片づけろってことでしょう」となってしまう。だから相手の思考型を気にして、それに合わせて会話するとうまくいくよ、と。 なるほど、一見すると言い得ているように見える。ただ一方で、僕にはそういった思考の型の違いがあるようには思えないなあ、というのが正直なところだ。物事には具体と抽象というレイヤーはあるにはあるが、それらは思考の型によって分かれているわけではなく、単に偏ったレイヤーでしか考えていないだけのように思う。 軍隊にはCI(Commander's Intent)、つまりは「司令官の意図」という考え方がある。これは任務や計画に対して、その任務の意図をセットで明確に伝えなさい、という考え方だ。たとえ任務や計画に不都合があっても、意図を知っていれば現場で判断できる。「物資運搬」任務に対し、「A地点の兵士に補給すること」という意図があれば、A地点の兵士がB地点に撤退していた報せが届いたとしても「あぁ、B地点に行けばいいんだな」と判断できる。 これは冒頭の文章で言えば「具体と抽象、両方を考えましょう」というハナシだし、実際、その文書の筆者も「相手の型が分かれば寄り添える」と言っているが、その実は「筆者はどちらも考えられるので、片方しかない人に補填してあげられる」というハナシのように思う。
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