良かったですね、冬にちゃんと寒くて。
いよいよ僕の住んでいる地域の気温が氷点下に突入した。さても寒い日々である。さてもこの時期になると色んな人から「イオリンさん、寒くないですか」と訊かれる。いやぁ寒い。寒いのだけれど、「まぁそりゃそうだよね」とも思っている。この感覚は、僕が高校生の頃の学長さんの談話が基(もと)になっている。
僕の母親が、保護者会か何かに参加した時のハナシだ。その日は夏だったのだけれど、うだるような暑さの日で、保護者会が始まる前にはみんなが口々に「暑い」「暑い」と言っていたそうだ。
そこで学長さんが入って来たのだけれど、学長さんも第一声が「いやぁ、みなさん暑いですね」と。ただ、そこから続いて「良かったですね。暑くて」と続けた。「夏ですからね。暑くていいんです。これが寒かったら大変ですよ」と。
これは僕の母親も膝を打ったようで、家に帰ってきてから僕に話してくれた。そして僕も膝を打った。たしかにそうだ。夏で寒かったらそりゃあ大変。暑い季節に暑いんだから、これは良かったことなんだ、と。
それ以来、僕は夏に暑いこと、冬に寒いことを「良いことだ」と受けとるようになった。だから、「イオリンさん、寒くないですか?」と訊かれた時も、「寒いですけど、まぁ冬ですからね」と返している。
今は12月だし、なんだったら僕は長野に住んでいる。そこが寒いというのは、良いことだ。