小椅子を立てて
そろそろ旅に出てみたいな、という気持ちがあるが、まだ身体が完全に乗り切っていないことも実感している。
行ってみたい土地はいくらかある。一番は岐阜だ。故・松岡正剛さんが「岐阜に拠点を置いてみたかったね」と興味を持っていたそうで、そのカンジを味わってみたい。たしかに岐阜は、なんともあやふやな場所だから、一度行ってみたい。あるいは金沢とかも少し行きたいし、東北あたりにも足を運んでみたい。あるいは長野の上田市あたりにもいってみたい。そういった土地はいくらかある。おおよそ、何らかの「じゃないほう」である土地。
そこに行ってみて、なんかしがの宿を拠点としながら数日、渡り歩いてみたい。普段ならなかなか読み進められない本でも持ち歩きながらね。そうしながら街の風土を感じてみたいなという気持ちがある。あるいは友人とただその街を散歩したりバスに乗ったりしてみたいな、と。どこへ行くでもなく、ね。
ただ一方で、僕は「人と関わりたい」みたいな欲求はないから、そういう旅がちゃんと味わえるのかな、という気持ちも少しだけある。本屋さんとか喫茶店とか宿とかにいっても、あんまり人情のないというか、押し付けがましくないくらいがちょうどいいのだ。「素敵な人にめぐりあえた!」なんぞは求めていないのだ。
8月末に僕の好きな詩人・御徒町凧さんが北海道の日高という街でお祭りを催すそうで、興味はあるのだけれど、同じく「人と関わり合いたいと思ってない僕が行ってたのしめるかな」という不安がある。
僕はそういう催しや、あるいは街並みにおいて単なる傍観者、訪問者として、小椅子を立てて眺めながらひとりで過ごしたいのだ。