イオリンの手紙

瓶詰めの紙切れ

「お客さん目線」は結果

僕の父は歯医者だった。子どもの頃の僕は、職業なんて言葉もよくわからないまま「将来は歯医者になる」などと言っていたことがある。それは医療ドラマ「白い巨塔」を見て挫折したのだが、まあ今となっては僕みたいな人間が医者になんてならなくてよかったと思う。 誰にだって向き不向きはある。僕はそれを技能とかではなくて意欲みたいなものだと思っている。僕が医者を挫折したのは、僕は医療ミスを絶対にやらかすと思ったからだが、それは技能ではなく、「その医療ミスをゼロにしてやる」というところに僕の思いが向かなかったからだ。人間だからミスくらいするだろう、と思ってしまう。 そんな僕は今、コンピュータの世界でディレクターをやっている。そこでは「より良いモノをお客さんに届ける」という気持ちを持っていられるし、そのために労力を積むことができる。これは僕が「お客さん目線を持っている」とかではないのだ。だって、本当にお客さん目線を持っているなら、医療ミスをゼロにする労力を積むべきだもの。 つまり「お客さん目線を持つ」ってのは結果であり成果だ。大事なのは、「お客さんのためを考えられるようなポジションに自分を位置付ける」であり、そのポジションを知ることだ。 個人の問題ならば自覚すべきだが、組織の問題なら兵站や軍略を采配する人の問題だね。
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